畳の知識 畳の工法いろいろ
畳を一枚仕上げる工法っていろんなグレードがあるのはご存じですか?仕上がれば同じように見える一枚の畳ですが、工法により仕上がりの美しさが違います。細分化すれば切りがありませんがここでは代表的な4種類の工法をお教えします。
京都府指定伝統工芸品である「京たたみ」でも、板を入れた上、全ての工程を手で縫うことが求められています。
板入れ畳
まず最初は板入れ畳です。これは畳の短辺に板を縫い込んだ畳のことです。畳床は稲藁で出来ております。この畳床を弓なりに反らして畳の表を一杯に引っ張って縫いつけます。そうすると畳の角(框(かまち)といいます)に当たる部分にかなりの力が加わり、徐々に角が丸くなってきたり丈(長さ)が縮んできたりします。これを「滅入る」と言います。この滅入りを防ぎいつまでも角の立った美しい畳を保つために、畳床の端に板を縫い込む作業を行います。これを板入れ畳と言うのです。
この板入れ作業は大変な労力と時間を要する作業ですので、基本をみっちりと学んだ本当の畳作りを知っている職人でないと作ることが出来ません。また時間も掛かりますので工賃も相当高価となります。
手縫い畳
手縫い框縫い | 手縫い隅縫い | 手縫い藁返し縫い |
畳縫いの全ての工程を手で縫った畳のことです。畳縫いは大きく分けて、框(かまち)縫い、平刺し、返し縫い、隅縫いの4工程があります。近年は手縫いといっても平刺し縫いだけは機械で縫うことがほとんどです。機械縫いとの違いは、框を縫うとき畳表だけを引っ張って縫うので(機械縫いは畳表と畳床をまとめて縫います)貼りの良い畳が仕上がります。
框縫い、返し縫いの時に藁を充てて縫い締めますので畳のしなりが無くなりピンと引き締まり型くずれのしない畳となります。また、藁の運びに装飾美が見られ美しく芸術的な畳に仕上がります。隅縫いも糸できちっと締め上げますのでいつまでも型くずれがしない。などの特徴があります。
手縫い+機械縫いの混合
手縫い框縫い | 手縫い隅縫い | 機械縫い藁返し縫い |
全てを手縫いでつくると工賃が高くなりますので、畳作りの効き目である、框縫いと隅縫いのみ手縫いとし、平刺しと返しは機械で縫います。
機械縫い
機械縫い框縫い | 隅止め | 機械縫いテープ返し縫い |
全ての工程を機械で縫います。隅縫いもタッカー釘で打ち込んで止めるだけになります。全国の畳屋さんのほとんどがこの機械縫いで畳を作っておられるのが現状です。工賃は、仕上げるのにかかる時間で積算します。早く作れる機械縫いが最も安く、機械縫いを基準におよそ倍々に高くなっていきます。