畳の知識 畳が選ばれるわけ
カーペットやじゅうたんがある中でなぜ、今畳なのでしょうか?
畳の持つ、吸湿作用や空気の浄化作用をはじめとした様々な機能は重宝され、断熱性にもすぐれることから、夏に感じる清涼感、冬に感じるぬくもりは、他の敷物と比べて格段に勝ります。
使い込んで表面が色あせていく様子を楽しんだ後は、定期的に畳の表面(畳表)だけを取り替えることで長くお使いいただける、それが畳です。
※退色(色あせ)と畳表の品質にはほとんど関連がありません。
※大切に使われた本物の畳は50年も100年もご使用いただけます。
畳の特性1「弾力性」ここちよい弾力性をもつ。
畳の特性2「断熱性・保温性」断熱性や湿度の調整効果も果たす。
畳の特性3「吸放湿性」自然の吸湿材であること(昔の家屋の畳と障子)
畳の特性4「難燃性」密であるので燃えにくい。
畳の特性5「空気の浄化」空気をきれいにする。
畳の特性6「吸音効果」足音や生活音を遮る。
畳の特性7「ライフスタイルにあわせて多目的に使えます」
◆畳の特性1「弾力性」
畳の上を歩いたことのある方は、誰でもその弾力性に気づいたことでしょう。硬すぎず、やわらかすぎない適度な弾力性はどうやって生み出されているのでしょうか?
畳の表面である「畳表」は、イ草という繊維質の植物を織って作られています。このイ草の中身を、見てみると、まるでスポンジのようなフカフカしたモノがつまっています。このフカフカの部分に空気がたくさん含まれているので、ほどよい弾力性が得られます。また、ワラの畳床は40センチほどの厚さに積んだワラを5センチくらいまでギュッと圧縮してつくられているため、歩くときに適度のかたさと柔らかさを感じるのです。ほかの床材にない微妙な弾力性は畳ならではの性質ですね。
畳の上の暮らしは歩き心地がいいだけでなく畳表にはO-157に対する抗菌性もあるので清潔さでも優れています。ハイハイが好きな赤ちゃんのいる家庭などに特におすすめしたい、日本式ヘルシーカーペットです。
◆畳の特性2「断熱性・保温性」断熱性や湿度の調整効果も果たす。
空気には熱を伝えにくい性質があるのは皆さんよくご存じですね。畳が、夏はひんやりと肌に心地よく、冬は暖かい空気を優しく保ってくれるのも、畳が含んでいる空気のおかげです。
畳表のイ草はもちろん、中の畳床に使用しているワラの内部はスポンジ状になっているので、たくさんの空気を含んでいます。
夏の空気は暑さを遮断する働きを、冬の空気は外の冷たい空気を遮る断熱材の働きをすると同時に、室内の暖かい空気を保つ役目をしてくれるのです。
また、断熱性と保温性に優れているため、冷暖房が効きやすいという効果もあります。
◆畳の特性3「吸放湿性」自然の吸放湿材であること(昔の家屋の畳と障子)
畳の中には一部化学製品もありますが、本来そのほとんどが植物性です。
空気を含むと同時に湿気を吸ったり吐きだしたりして、部屋の湿度を調整する働きをしています。畳の敷かれている部屋は、夏涼しく、冬は暖かいという特徴があります。これは畳を構成しているイ草と稲ワラのおかげです。イ草のスポンジ部分が湿気を吸収し、稲ワラのポッカリあいた空洞部分が湿気を放出します。つまり畳は呼吸をしているのです。
畳一帖分の自然吸湿能力は、約500mlにもなります。
夏などの空気が乾燥した場合は、ほどよいしめり気を吐き出す力があります。畳が古来から現代に至るまで使われ続けている理由は、畳は柱の木や障子とともに、湿度の高い日本の気候に最も合った住宅材料だからといえるでしょう。それにベッドと比較した場合でも、背骨に好影響を与えるなど健康上からも見直されているんですよ。
◆畳の特性4「難燃性」
畳床は40センチほどの層にした稲ワラを5センチほどまでギュッと圧縮して作られたものです。燃えやすい紙でも、電話帳などの何層にも重なったものは燃えにくいという性質がある通り、ギュッと圧縮させた稲ワラは燃えにくい性質があります。
また、適度な湿気を含んでいるので、すぐに火がつくことはありません。例えば、燃えることがあっても一気に燃えあがるのではなく、ブスブスとくすぶる程度です。蝋燭や線香の火から社寺などの文化財を護るのにも一役かっています。また、植物から作られている床材なので有毒ガスも出ません。
◆畳の特性5「空気の浄化」空気をきれいにする
イ草の中身は、フワフワとしたスポンジです。このスポンジには小さなプツプツとした穴があり、この穴やスポンジ部分に空気中に含まれている、人体にあまりよくない二酵化ちっ素を収着する性質があります。(ただし、着色した畳表は小さなプツプツとした穴がふさがっている可能性があります。無着色の畳表をお求め下さい。)
近年では、シックハウスの原因とされているアセトアルデヒドや二酸化窒素をイ草や畳が吸着し、空気を浄化する作用が注目されています。また、アセトアルデヒドとホルムアルデヒドは性質が似ている事から、ホルムアルデヒドについても同様の効果が得られると考えられています。
そういえば、畳の部屋ってなんだかすがすがしいですよね?
◆畳の特性6「吸音効果」音を遮る
「弾力性」の部分でも触れた通り、畳床の中の稲ワラの中には、たくさんの空気が含まれています。この空気は、ショックを柔らげる力のほかに余計な音を吸い込む吸音効果にも作用します。ぎっしりとつまった稲ワラの中の空気が、転んだ瞬間に吐き出され衝撃を弱くするのが弾力性。その逆に、歩いている足音が震動となり空気に含まれ吸い込まれるのが吸音効果です。畳の敷かれている部屋に入るとシーンと静まりかえっているはずです。
目で感じる「落ち着いた雰囲気」に加え、この吸音効果がプラスされ心が静まるイメージを与えます。
お寺などで感じるシンとした静けさは、畳も一役買っているというわけですね。
◆畳の特性7「ライフスタイルにあわせて多目的に使えます」
畳のいいところは、住む人のライフスタイルにあわせて多目的、かつ自在に使えることです。昼間は座敷や応接間として機能し、夜は寝室に早変わり、といった使い方ができるのも畳の部屋ならでは。また、応接セットの入った洋間より、多人数の人が座れるのも畳のいい点です。一戸当たりの住面積の狭い日本の住宅では、臨機応変に使用できる畳の部屋をもっと見直して有効に使いたいものです。
知れば知るほど良いことづくしな、畳。
特に畳の持つ天然のエアコン作用は、古来から畳が親しまれてきた理由がわかる気がしますね。